2009年07月15日

煩悩リセット稽古帖

こんにちわ、フリーエージェントのファシリテーター、中村 大介です。
前回初めて発信してみたファシリテーター的読書感想文、予想以上に多くの方に興味をもって文をお読みいただいたようで、嬉しく、また今回の原稿へのいいプレッシャーをいただいております(^^;

さて、前回は坂本龍馬を題材に、ファシリテーターのあり方や可能性について考えてみた読書感想文でした。
今回はファシリテーションの実践について、一冊の本をヒントとして僕なりに考えてみたいと思います。

「煩悩リセット稽古帖」 という本です。


タイトルに煩悩とあるように、青年僧侶の書いた仏道の本です。
しかし、宗教的な本とは感じられませんでした、実際、こんな文章から本はスタートします。
「本書を少し読むとまるで心理学の本のように思われるでしょう。
そう、仏道は、宗教ではなくて、お釈迦さまが見抜いた心理学。現代に生きる私たちにこそ役に立つ精神トレーニングメソッドなのです。」

そして中身も、とてもかわいい4コマ漫画と柔らかい文章で構成されていますが、内容の「なるほど感」は僕にはなかなかです。

どんなところが「なるほど」だったのかと言いますとそれはファシリテーションする際の、自分自身のチャレンジに関係しています。

みなさんは、ファシリテーションを実践するときに、自分でいつも気をつけていること、チャレンジってありますか?アジェンダの目的や期待する成果を意識しながら進めるとか、事実と意見を切り分ける、意思決定基準をはっきりさせる、チームの人間関係に気を払う・・・などなどなど、僕が観察する限り、どうも一人ひとり違うものがありそうと思われます。
ファシリテーションってとても幅の広いので、誰しも得意分野とチャレンジの分野がありそうということですね。

それで私が思う、自分自身のチャレンジなのですが・・・
少し変なことを書きますが、どうも、メンバーと接している時の自分の内面の対話っていうのがカギではないかと。
頭の内側で人には聴こえない会話をいっぱいするのでなく。
シンプルに場を提案して、反応してくれたものをシンプルに聴けて、こちらもパッと反応できるそんな時はいい場にお役立ちできているような気がします。

で、今回とりあげた「煩悩リセット稽古帳」では、「現代に生きる私たちにこそ役に立つ精神トレーニングメソッド」の鍵となる「業(カルマ)」と「煩悩」について、こんな説明をしているんです。


「業(カルマ)とは『心の中に蓄えられたエネルギー』のことです。
(中略)このエネルギーは私たちがそれを使って考えたり話したり行動したりするたびごとに、新しく次々に生まれ続けます。例えば音楽を聴きましたら、聴いた後の後味がしばらく心の中に残るでしょう。
この後味が新しい業のエネルギーです。また人にイヤな言葉をぶつけましたら、やはりネガティブな後味が心の中にしばらく残ります。
(中略)ネガティブな業が心の中で活性化していましたら、ポジティブな言葉を言おうとしてもついついネガティブな言い方になってしまったりいたします。」

「このような業の煩悩エネルギーは、過去からずっと連鎖しながら、私たちの心を少しずつ変化させています。そして業を溜め込みすぎますと、それに応じた負の波動(オーラ)を放つようになります。
するとそれが周囲の他人を緊張させたり反発させたりするのです。
(中略)このように私たちを裏から操っている潜在力、それが業です。
そして業のうち、負の業を作るものでもっとも強力なのが煩悩の中の根本煩悩、「よくぼう」「いかり」「まよい」です。

いかがですか?
判りやすく、僕なりには「後味っていう心のエネルギー確かにあるなー」、「そんなオーラを感じさせる人いるなー(自分がそうでないと願いたい)、あれは仏道からみたら煩悩か〜!」などと。
また、この部分だけでもファシリテーションとつなげてみて、少なくともファシリテーター、場でみなさんの前に立つシーンがある訳で、そこで発しているのはポジティブな波動であってほしいし、自分がそうあるためには、普段からの言動、例えば発している言葉の種類もとっても大切って訳ですよね。
さらに場に発せられるネガティブな言い方を、ポジティブに言い換えるお手伝いができているとき、ファシリテーターは、場の業がポジティブな方向、そして場の波動を心地よいものに変えるお手伝いをしていることにもなる・・・のかな、とか。

さて、僕自身のチャレンジである内面の対話。
これは何なのか、どんな状態でなぜ効果的でないんだろうーっていうことへのヒントを、この本からこんな風に見いだしてみました。
この状態は、煩悩の「まよい(愚痴、と書くそうです)」に密接に関係しているようです。

「頭の中で考え続けることが癖になっている人間という生き物は頭の中で考え込んでいる間は、心のエネルギーを『あれこれ考えること』に浪費する分、視覚も聴覚も触覚も鈍くなるという性質を持っています。
雑念とはまさに雑な心でありまして、それによって心が散らかりますから、感覚のセンサーが鈍くなるのです。
感覚のセンサーが鈍くなりますと(中略)
また相手の感情の変化に対しても鈍感になります。人の話をしっかり聞くことができなくなります。
物事をしっかりみることができなくなります。そして自分自身の心の変化に鈍感になり、自分の心のコントロールができなくなります。」

うーん、そうかー、内面の対話っていうのは、一生懸命考えているつもりでもあった訳ですが、心のエネルギーを現実以外のと ころに使ってしまっていたのか。
これって、ファシリテーターにとってはすごくチャレンジではないかと思ったりもする訳です。
例えば、あるミーティングにて、とあるメンバーの発言を聴いているというシーンにおいて、心をしっかりさせなければ、創造化の観点から、この発言とミーティングのゴールはどうつながるかな、なんてちょっと気にしちゃったり、効率化のために発言の長さと時計が気になり、活性化のために、まだ発言してない人の様子をちょっと気にしちゃったり・・・とか。

逆に、内面の対話がすっきりしている状態のことも表現してくれています。
「座禅で、呼吸や身体へと心を集中しているときに限らず、本当に高度な判断力が働いているときには、わたくしたちは余計なことを考えていないものです。『ただひたすら仕事に打ち込み』『ただひたすらに呼吸をし』『ただひたすらにスポーツに集中する』そのような瞬間が雑念のないクリアな意識状態を保証してくれるのです。 このような麗しい『思考停止』、すなわち『空』こそは、わたくしたちを智慧のエネルギーでビビビッと充電してくれるのみならず、わたくしたちの立ち居振る舞いを美しくしてくれるのです。」

うむ、するとこれに意図的にどうやって近づくかだな、と言うことになる訳です。
これはどーも、トレーニングのようですね。
脳内に「引きこもり」をして勝手に対話を始めようとする心を発見したならば(まず発見することですね)、心を「脳内ストーリー(という言い方を多用してます、なるほど)」に引きこもらせず(ちなみに引きこもるとその迷いの業でさらに引きこもりが習慣化され、そういう人格に・・・)グイッと大切な現実に戻してあげる。また引きこもりそうになったら、また戻す。自分でそうやって心の焦点を定める力、「定力」を鍛える、ということでした。

僕なりには、ファシリテーションで考えたら、定力を鍛えていくのはもちろん、準備を完全にしておくことでプロセスのことで余分な引きこもり要素を作らないとか、プロセスの根回しで人間関係を理解したり心の準備をしておく、といった準備。さらに、ミーティング前の出来事はすっきりと整理してから場に望む、ミーティング後のことはきちんとそれに取り組む時間をスケジュールに確保する、というようなことで現在という時間に集中しやすくする普段からの自分の心の管理。
そして場においては話す/聴く/考える、みたいなことを、ひとつひとつ切り離して集中してする。。。
っていうと、どれも基礎的なことかもしれまえせんね、でもあらためてそういったことが大切だと思えた訳です。

ほか、いろーんな面白い要素がありました。

「誰もが毎日のごとく、実はこっそり道徳を使っています。ただし、自分を麗しく育て上げるためにでなく、他人に押し付けるために。
わたくしたちは、知らず知らずのうちに相手に『〜すべき』との義務を押し付けています。そしてその義務を果たしていると思えない相手を非難する訳です。」
⇒ミーティングでも、それ以前に日常でも、周囲にも自分にもありませんか?

「- 仮想敵トーク(四コマ漫画のタイトル、以下、登場人物のセリフ)-
『たまには雨も心地よいよね』『でもでもっ、いつも雨なんて嫌ッですわ』『ん。いつも雨なら洪水になって困るものね』『でもッ雨にだって良いところはありますのよ』(登場人物のセリフ、以上)
これまで29年間生きてきて、世の中において会話が噛み合っていない原因はたいていの場合、こういったケースなのではないかと思うに至りました。
学者同士の対談であれ、友達同士であれ、恋人同士であれ、同じです。
⇒同感!
これをもとに、あるミーティングで「『でも』からの発言禁止ルール」 というのを(ちょっと面白く)提案させていただいたところ、結構な効果がありました。
よろしければどうぞ。
ちなみに「でもッ」って自分の立場を(無意識にでしょうが)見せつけたがる煩悩は「見」であり、またプライドにしがみつく「慢」とのことです。

この本に関しては、四コマ漫画も面白くて、絵で紹介できないのが残念ですが、これ以外にも僕には「なるほどー」はたくさんあったので、もしここまでの内容で興味をもたれた方がいらしたら、ぜひ一度手にお取りください、最近出会った中で、とってもお勧めの本の一つです。
ご紹介くださったA社鈴木さん、ありがとうございました。

みなさんからのお勧め本の情報もお待ちしています!
ちなみに次回は、トム・ピーターズの「サラリーマン大逆襲作戦Aセクシープロジェクトで差を付けろ!」にしようかなー、と思っております。

今回も長文、お読みくださりありがとうございました。  
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posted by ダイスケ at 11:35| Comment(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月13日

ファシリテーター龍馬

はじめまして。
フリーエージェントのファシリテーター、中村 大介です。
今回、光栄なことにこうしてコーナーを持たせていただくことになり、 自分なりに何が書けるだろうか・・・と考えて、読書感想文、みたいなものを書いてみることにしました。
色んな本からファシリテーション的要素を見いだして書き上げてみたら、そして、みなさんからもそんなインプットをいただけたら、私たちのファシリテーションの引き出しが増えるのではーと。
ということで、さっそく初回は、司馬遼太郎さんの「龍馬がいく」です。

ところで、みなさんは「まさにファシリテーター」と言ったら、誰を思い起こしますか?
あのビジネスリーダー?身近な○○さん?「甦る組織」の登場人物・・・?

坂本龍馬というのはどうでしょう?

司馬さんの描いている龍馬は、私には明治維新におけるファシリテーターに見えて仕方がありません。すると、「ファシリテーター龍馬」(勝手にそう位置づけます)に学べるところはいっぱいあると思うんですねー。

例えば、ファシリテーターの「中立的な立場」。
龍馬は、薩長同盟という敵対する二つの藩を倒幕というWin-Winで結びつける離れ業をしてのけます。
両方の藩から信頼を得たのはなぜか。
それは彼が早い時期に土佐を脱藩した中立的な存在であること、そして母藩や幕府からの迫害を受けながらも薩摩でも長州でもない日本のために活動していることが伝わるからだ、と描かれています。
中立的であることの可能性であり、また、中立的とは単に間に入ることを超えて、高い目線を持つことで得られるのかもしれませんね。

また維新の「プロセス管理」もみごとです。
薩長同盟においては、観念やそれまでの敵対関係という感情にしばられて膠着した2者の関係を、経済活動(長州のために薩摩が船の購入の名義を貸し、薩摩の兵糧米を長州が供与)から結びつけます。
この他にも政治の話を「あるべき論」でなく経済からアプローチするシーンが多いんですね。
感情と事実を切り分けてのアプローチとも言えますし、賢明さだけでなく健全さを考えることで関係を創っていったとも言えなくはないと思うのです。
そして、大政奉還-幕府の持つ政権を朝廷に穏やかに返すことで内戦を避ける、という思い切ったアプローチは、徳川家の存続と新しい政権づくりという薩長土がWin-Winでの解決策を進めるお膳立て。
また幕府の否定に集中していた薩長に先駆けて、維新として進むべきステップ、プロジェクト全体のプロセスを「船中八策」という大枠の中で提案していったと考えることもできそうです。

プロジェクトからの去り際もまた、さすがファシリテーター龍馬(笑)
西郷隆盛に新政府のメンバー案に龍馬の名前が無いことを問われて、彼は窮屈な役人はキライで、と答えて、こう続けます。
「世界の海援隊でもしましょうかな」
次のプロジェクトにむかってるんですね。
この場面、ファシリテーターとしての究極の姿は、ファシリテーターが居なくてもチームが機能することだ、と話をされていた、私がファシリテーションを学んだ方の一言とかぶるんです。
ファシリテーターがお手柄に固執するほどいけてない姿はないのではないでしょうか、とても見事な引き際だと思うのです。

最後に、その他の僕がいいなー、と感じた言葉を自分のためにもメモしておきたいと思います。
「業なかばで倒れても良い。その時は、目標の方角に向かい、その
姿勢で倒れよ。」
「世に生を得るは、事を成すにあり」
この人生観、この時代の人の迫力。
自分にとって、事を成す、って何だろう、とたまには問いかけなきゃだなぁと思うのです。
「財政の自由無くしては、思想の自由も無く、行動の自由も無い」
これは、会社人でもフリーエージェントでも私たち個人にとって大切なことかも、また、中立的であることの前提かも、などと。

ということで、龍馬はファシリテーターだった、もしくは逆にファシリテーターである我々は各々の維新の龍馬だ(笑)、と考えてみたら全8巻、とても面白く読めると思います。
もし読んだ方、読み直された方・・・みなさんの読書感想文もお知らせくださったら嬉しいです!
(何か進呈するかも?)

流行の川柳で・・・「会議後の 充実感に 龍馬気分!?」
おそまつー。。。

次回は、小池龍之介さんの「煩悩リセット手帳」を取り上げてみたいと思います。
みなさんからもお勧めの一冊、感想文、お知らせいただけると嬉しいです。

『竜馬がゆく』(司馬遼太郎)
posted by ダイスケ at 11:53| Comment(3) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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